2018年10月8日月曜日

「VIETATO MORIRE」死ぬことを禁ずる ~Ermal Meta~

Ermal Meta(エルマル・メタ)の「VIETATO MORIRE」(死ぬことを禁ずる)は
2017年に発表された作品
歌詞の内容やMVは半自伝的と言ってもいいかもしれません


エルマルはアルバニア人で
彼が13歳の時 父親のDVから逃れるため
母親と兄弟の4人で南イタリアのバリへ移住します。
その後、イタリア国籍を取得
母親がプロのヴァイオリニストだった影響もあり、クラシック音楽を聴いて育ち
16歳の頃、ピアノやギターを弾き始め
後に5年ほどバンド活動をしてサンレモ音楽祭に参加するがなかなか伸び悩み解散


ソロになったエルマルは作曲家として人気歌手に楽曲を提供しつつ
2017年のサンレモ音楽祭でこの「VIETATO MORIRE」で大賞部門の3位に輝きました。
「VIETATO MORIRE」の歌詞の内容やMVは「いじめ」や「家庭内暴力」を連想させます。
インタビューでは主に母親が父親から受けた暴力について言及していて
母親の自己犠牲によって守られた子供たち=エルマルとその兄弟
そして「愛は暴力ではない。」=父親のDV
「貴方が与える愛ほど大きなものは他に無いだろう」=母親の愛
と話しています。
と言うことは、この唄の「TU」(君)は母親を指しているのでしょう。

(以下、意訳)一部省略しています。

生命力に溢れたその瞳と
顔を殴られ、傷跡をつけた君の笑顔を思い出す
薄暗い夜を思い出す
でも、少なくとも外にはオオカミはいなかった


小学校へ初めて行った日を思い出す
29人の生徒と先生、マルゲリータ先生
皆が一斉に質問を浴びせて来た
「なんで目のまわりにアザがあるの?」



君のネックレスについた魔法の石
僕は君をそこから連れ出す為にその石を握りしめて祈った
僕は怖くて考えることが出来なかった
他の子たちが何を考えているのか、とか
君が僕への愛の為に受けた苦しみを

君は夢を見ることをやめ、代わりに僕に夢を見させてくれた
君の言葉は今、一つの唄となる


君の運命の星を変えてみて
試してみたら上手くいくかもしれない
思い出して、愛は君を殴ったりはしない
思い出して、君が与える愛ほどに大きなものは他に無いんだよ
忘れない、子供だった僕が君をあいつから守ろうとしたあの頃の事を
僕が半ズボンをはいた子供だったとしても


僕は君をそこから救い出そうとして
君のネックレスの魔法の石を握りしめた
でも魔法は消えていた
後は自分の力で人生にかみつくだけ


君は傷が閉ざされ、その内を見ることが出来なくなることを知っている
君は何を待ち望むだろう

もう一度やり直すことは遅すぎやしない
そして別の道を選んで、愛は暴力ではないことを思い出して
嫌なことに従う必要なんてない
覚えていて
死ぬことは禁じられていることを、死ぬことは禁じられていることを


君の運命の星を変えてみて
試してみたら上手くいくかもしれない
息子の僕が覚えているよ
貴方の人生を
貴方が与えてくれる愛からは二度と離れない


嫌なことに従う必要なんてない
覚えていて
死ぬことは厳禁
嫌なことに従う必要なんてない
死ぬことは禁じられているから、死ぬことは禁じられているから
死ぬことを禁じます


エルマルは父親に対する楽曲も発表しています。
「父への手紙」

ここには父をモンスターと呼び、自分たちの翼を捥ごうとする存在として描かれています。
完全なる憎しみの対象
だけれども
当時、30代前半のエルマルはそうやって作品に昇華することで
ようやくその憎しみから解放されようとしたのかもしれません

2018年
エルマルはサンレモ音楽祭で念願の優勝を勝ち取りました。
曲は「Non mi avete fatto niente(君たちは僕に何もしなかった)」
これまた社会派ソング、戦争やテロに対する批判をストレートに唄っています。
そして同じくシンガーソングライターのファブリツィオ・モーロと組んだ共作で
この曲を引っ提げて5月に行われるヨーロッパの唄の祭典
”ユーロヴィジョン・ヨーロッパ”にイタリア代表として出場しました。


シンプルな演出にヨーロッパ各国の文字で綴られた歌詞
とても心に響きます。
結果は一般投票で多くのポイントを取り5位入賞と大健闘しました。






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