2018年9月30日日曜日

"Romeo&giulietta -Ama e cambia il mondo" ロミオ&ジュリエット

そもそもロマンチックな恋愛ものはあまり好みではないのですが
しかしそこは作詞&作曲のジェラール・プレスギュルヴィックの創る
劇中歌の魅力によるところが大きくてですね、”世界の王”、”エメ”は名曲!
主演以外の配役の唄も、どれもこれも素晴らし過ぎます。

でも何にビックリって、ブロードウェイ作品と違って上演国での結構な演出の変わりようにビックリです。
だからなのか結構お国柄が出ます。 (ミュージカルロミジュリwiki)
 
イタリア版・予告編1分Ver
.
 👈フランス版
フランス版は全体的に神秘的でエレガント、舞台装置も凝っていて見応えアリ
フランス語のソフトな響きも良いですね。フランス語だとすべてがオシャレに聴こえるマジック


あと、ミュージカル版では「死」が実体を以て登場しますが
もう最初の劇中歌”ヴェローナ”から全体を見渡す頭上にいるのです。
ロミオとジュリエットの「死」を予感させるというよりも、「死」が二人を引き合わせたような演出
そしてヴェローナという街自体がすでに「死」に憑りつかれているような
そこかしこに登場する「死」はつねに、会場に張り詰めた緊張感を漂わせます。
演出的にフランス版に近いのはロシア版かな(そしてロシア勢は恐ろしく手足が長い)


対してイタリア
フランス初演2001年から12年後の2013年に物語の舞台でもあるヴェローナから上演が始まります。
 ”Arena di Verona”野外です。
舞台装置は簡素で抽象的な部分が多く、プロジェクションマッピングを多用しています。
イタリア語はローマ字読みで一言一句はっきりしているから、言葉の印象が強い
全体的にダイナミックで迫力満点
そしてイタリア版の特徴として「死」が登場しません。(悪魔っぽいのはいますが)
その為か、ロミオとジュリエットが意思を持って愛を貫いたように描かれています
全身全霊で生きている。まさに激情のままに恋に落ち絶望し「死」を選んだ二人
出会ってから死ぬまで5日間という短さにも説得力が出ています。


悲壮感は控え目で、登場人物が生き生きと舞台上で動いています。
イタリア版の見どころは何と言っても鮮やかで豪華な衣装、アンサンブルのレベルの高さ
に加えて身体能力高い!ダンスもすごい!
そして、かなり恋愛表現が強め
フランス版は結構プラトニックで、”ひばりの歌声”もかなりソフトな感じなのに・・・


でも、これをイタリア人がやると絵になるというか全然卑猥じゃないんですよね
不思議
 
イタリア版・予告ロングVer.


2013年イタリア版初演のロミオとジュリエット(イタリア語だとロメオとジュリエッタ)
 フレッシュな二人
ロメオ役のダヴィデ・メルリーニは1992年生まれヴェネト州・マロスティカ出身
初演時は21歳
彼は「Xファクター」というオーディション番組に出演し歌手デビュー
その翌年にロメオ役に大抜擢とサクセスストーリーを地で行く青年です。
サラサラヘアに愛くるしいルックスで、爽やかでまっすぐなロメオを堂々と演じています。
このイタリア版「ロミオ&ジュリエット」は2013年の公演前にかなり大々的にプロモーション活動をしていたのですが(なので結構いろんなプロモ動画があります。)

 
ジュリエッタ役のジュリア・ルーツィ(Giulia Luzi)は初演時は19歳、アブルッツォ州・ローマ出身
10代とは思えない歌唱力と確かな演技力、貫禄すら感じます。
彼女は10歳の時にディズニーのミュージカルに出演と子役としての芸歴が長く
2013年にジュリエッタ役に抜擢
歌手デビューは遅く2015年から
フランス版のふわっとした世間知らずで可憐で乙女なジュリエットと違い
芯のしっかりとした、情熱的でやや気の強いジュリエッタを演じています。
 
彼女は13年~16年までロミジュリに参加しています。
 
貴重な舞台稽古風景
 


 因みに2015年の3月からロメオ役が変わりまして
ダヴィデ君からフェデリコ・マリニェッティ君(Federico Marignetti)にバトンタッチ
彼はジュリアと同じローマ出身、当時26歳でバンドをやっています。 
ロミジュリ以前には「春の目覚め」イタリア版にも出演したり、映画にも出ているようです。
ダヴィデロメオと違い、繊細でちょっと大人なロメオを演じています。
 彼の歌声も良いです。
 
動画は”Mio Dio pietà”、フランス再演版から追加された”On prie”です。

ジュリエッタの横で死に絶えるフェデリコロメオが滅茶苦茶セクシーでした。
ジュリアジュリエッタの演技もさらにレベルアップしています。

と、ここまで主演ふたりをメインに書きましたが
実はヴェローナ公が結構好きだったりします。唄もオペラ聴いているみたいにすごい迫力
ロメオの友人メルクツィオ(マキューシオ)の高音も神経質さが出ていてGOOD
でも何故彼が死ぬ直前に「友よ!」と言ってロメオにキスするのかが不明(演出家の嗜好?)
テバルド(ティボルト)の声量と演技も圧巻です。

今回のブログを書くにあたってちょこちょこ調べていたところ
「ロミオ&ジュリエット」は若い二人の愛と敵対する二つの家のお話というだけでなく
世代間の相容れない深い溝みたいなものも描かれているようです。
そう言われて観てみれば確かに、特にイタリア版は「死」に気を取られることなく登場人物に集中していられるので分かりやすいかもしれません。
「ロミオ&ジュリエット」
深いな。
観れば見るほど面白い作品です。
そして歌も聴けば聞くほど好きになっていきます。

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